善光寺七名物

南宜堂

2007年09月01日 23:16


 信州の台所に愛されて280年。
というコピーはすごいと思います。何がすごいのかといって、280年という気の遠くなるような時間の流れをサラリと言ってしまうところがなのです。元文年間、もちろん江戸時代です。冷蔵庫などありません。
 これと比べてしまいたくなるのが、伊右衛門というお茶のコマーシャルです。京都の老舗福寿園の当主の名前からとってネーミングですが、本木雅弘と宮沢りえが一生懸命こだわりとがんこを演技したところで、しょせんはペットボトル入りのお茶です。「おーいお茶」と味に変わりがあるとは思えません。
 一方で八幡屋磯五郎の七味唐辛子は、さらりと280年といってのけても、変わらぬ味を保ちつづけているわけです。

 善光寺七めぐりの番外編である「善光寺七名物」のお話です。いつの頃からか、善光寺門善町には七名物といわれるものがありました。今に残るものも、もうなくなってしまったものもあります。七めぐりが地元向けのお手軽な物見遊山のおすすめであるならば、「七名物」は善光寺参りにおとずれる善男善女に向けてのおみやげです。
○七味唐辛子 御高札前八幡屋礒五郎でお馴染み、現在でも善光寺みやげの筆頭に数えられるほどの人気である。
○三国一の甘酒 善光寺境内の茶店で売られている甘酒。
○善海の田楽 背世尊院釈迦堂前にあったが今はない。
○眼界堂の雲切目薬 笠原十兵衛薬局の製造販売で売られている。
○川島屋のねり膏薬 淀ヶ橋にあった。おできの薬。
○牧屋の蝋燭 東之門町牧萬の蝋燭。
○鐘鋳川端のまんじゅう 善光寺領と松代藩領の境、鐘鋳川端にはまんじゅう屋が並んでいたが、現在は酒まんじゅうのつるやが一軒残るだけである。