井上醸造
妻科にある味噌屋さんという知識しかなかったのですが、今日ホームページを拝見していろいろなことを教えていただきました。私がこの味噌屋さんに興味をもったのは、たたずまいが気に入ったからです。広い空き地があってそこに大きな味噌樽が無造作に置かれている。大きなケヤキの木の下に昔の農家のような感じでその店はあったのです。
その時私は田中冬二の妻科の家を探していました。庭先を掃除していたご婦人に「むかしこのへんに住んでいた云々」と尋ねましたら、「そういえば、妻科に住んだ偉い人の家の跡があった」と言ってその場所を親切に教えていただいたのです。行ってみるとそこは浅井洌と北村季晴の家の跡でした。まあその場所も知りたかったのでありがたかったわけです。
井上醸造の店は長野市の景観賞を受賞していました。そしてこの店は100%国産の大豆を使って昔ながらの製法にこだわった味噌を造る店なのです。
「私たちが伝えたいこと・・・
創業以来100有余年、井上醸造は一度たりともこのやり方を変えたことがない。
“スローフード”や“ロハス”といったライフスタイルが志向される現在、再び“手造り天然醸造”が見直され、復活させている醸造元もあるようだが、おそらく高度成長期の大量生産が良しとされた時代に、黙々と手造りにこだわり、その製法を守り続けて来たところは、ほんの一握りではないかと思う。
ありがたいことに、うちの先代はこのやり方を変えずに、そのまま自分に引き継いでくれた。こんなに感謝することはない。
井上醸造には、頑なに守り続けてきたという“自信と誇り”がある。
だからこそ、こんな味噌屋があるということを知っていただきたい。そして、一度うちの味噌を味わっていただきたい。井上醸造 四代目 主人 井上 元 」
「豊穣」という味噌が1キログラム840円とあります。食べたことのない身としては論評のしようがないのですが、味噌の値段としては私たちがふだんスーパーなんかで目にするものにくらべたら高いという気がします。どんなものでもそうなのですが、天然とか手作りとかいわれるものはどれも値段が高いのです。昔からの方法を、この機械化され省力化された資本主義社会の中で保ちつづけているのですから高いのは当然と思うのですが、昔は誰もが簡単に食べられ手に入ったものが、どうして今ではなかなか買えないものになってしまったんだろう。素朴な疑問ですが、味噌に限らず思ってしまいます。