どうなる高遠本の町

南宜堂

2011年11月13日 01:25


 「長野県古書組合未加入の光風舎番頭南宜堂傳兵衛が選ぶ信州古本界今年の10大ニュース、昨年のものもあるかもしれないし、10以上あるかもしれない」
 もうそんな季節になってきたんですね。というわけで、これから年末にかけてこの1年の信州古本界の話題を振り返ってみようと思います。
 といっても、信州に住まず、古本には興味がない人には何の面白みもない話ですが、しばらくはお付き合いください。
 その第一に上げたのが高遠本の町です。 これについてはここ南宜堂ブログでも時々書いてきたので経過は省略しますが、要するにホームページから引用すると、

「日本にも”本の町”があったらいいと思いませんか?
豊かな自然につつまれ、本好きはもちろん、さほど本に興味がない人でも数日間楽しむことができる場所があったら行ってみたくはないですか?
高齢化などの事情によって、このままでは日本のあちこちにある素晴らしい町が消滅しかねないと心配になりませんか?
わずか数年間に過ぎませんが、私たちは高遠町で行ってきた経験や海外視察で感じたことなどを基礎とし、さらに本気で、プロジェクトに取り組んでいきたいと思っています。」

 本気で取り組んできた結果として、高遠に「本の家」という古本屋を作り、3年間にわたって 「高遠ブックフェステイバル」という催しをしてきたということです。
 今年もそれは行われたようですが、肝心の「本の家」がなくなってしまったようなのです。ようなのですを連発したのは、私がそこには行かなかったからなのですが、古本屋がないのにどうやって本の町を作るのかというのが大いなる疑問なわけです。18日にそんな話し合いが行われるようですから、ホームページでの発表を注目しましょう。
 長野県の元気作り支援金というのを受けていたので、そのことを批判する声もありますが、彼らは彼らなりに古本で町おこしをしようと考えていたわけでしょうし、そんな安易な企画に大金を支出した県のお役人もわるいわけですから、そのことを言うのはやめておきましょう。
 この人たちは東京の感覚で、軽いノリで高遠にやってきたのでしょう。いい本揃えて店を開きさえすれば遠くからでも客はやってくると。地方で古本屋をやるということはそんなに気楽なものではありません。わが南宜堂ブログを読んでいただければおわかりのように、血の出るような努力をしてないのです。
 人件費がかかって赤字だというのなら、店主自らが高遠に常駐して店番をすればいいのです。一緒にやっていた長藤文庫さんはそれをしてました。
 1軒の古本屋を維持できないのに本の町をどうやって作るのでしょう。 私の疑問はそこに集約されます。私は先日東京の古本屋さんを訪ね、古本界に詳しいつん堂さんのお話を聞き、人口の多い東京でさえ古本屋の経営は大変なのだということを実感しました。
 ましてや人口の少ない高遠です。苦戦は織り込み済みでしょう。採算が取れないからと簡単に閉めるのは、地方と古本屋を舐めているとしか思えません。
 とにかく18日の会議後の発表を注目しましょう。



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