2008年05月27日

陶隆窯

 昨日紹介した大門町清水屋旅館の一角にある甘味とうどんの「きたみせ」。ここには陶芸家牧隆志さんの作品が並べられています。牧さんは松代町の山中清滝観音の近くに窯(陶隆窯)を構え、猿と親しみながら生活雑器を焼く好青年です。中学生の頃、先生から「君は勤め人にはなれそうもないから」と焼き物の道を勧められ、高校を出ると岡山県の備前焼の窯元に修行に行きました。
 ここでは朝から晩まで、親方の指導のもと同じものを100個200個と焼くのだそうです。違うものを作ってはいけない、同じ規格の器を決まった数作る事がノルマでした。長野に帰って自分の窯をもつのですが、「どうしても昔の癖が抜けなくて」と、芸術的な作品は苦手で、使い手の使いやすい器を作る事を信条として頑張っています。
 しかし、生活の器は今は100円ショップでも買えます。商売はなかなか厳しいようです。写真は彼につくってもらったオリジナルの招き猫です。ほかにお地蔵さんや七福神やふくろうも作ってもらいました。彼は手抜きという事をしないので、価格に見合うものがなかなか作れないのです。それがまた彼の愛すべき一面なのですが。
 私は最近になって、芸術的な一点ものより、職人さんの作った使い勝手のいい器を愛するようになりました。しかし、そうなって気がついてみるとそんな技術はまさに滅びようとしているのですね。残念ですがいたしかたないのでしょうか。
陶隆窯



Posted by 南宜堂 at 22:59│Comments(0)

 
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