2008年05月28日

定休日の植木商店

 何日か前にみうみうBETTYさんが、植木商店を紹介されていました。みうみうBETTYさんは時々コメントをいただく、ほんとに数少ない南宜堂ブログの読者の方なのです。
 今日は水曜日で植木さんが定休日なので、この日にしか見る事のできない風景をお届けしようということです。もしかしたらどうということのない風景なのかもしれないのですが、私個人には実に懐かしいのです。
 植木さんは長野でも老舗の銅器や茶器、花器などを扱う店です。店先の二宮金次郎の銅像がシンボルになっています。ここの現在の御当主が私の友人の従兄弟ということで、お会いすれば親しくお話をさせていただいております。先日南宜堂が醜態をさらしたabnステーションで、草田さんのインタビューにこたえ昔の北八幡川のお話をされていたのが御当主です。
 シャッター通りという言葉があるように、現在の中央通の閉店後の風景はほとんどがシャッターを閉めた光景になっています。ところが、この植木商店は昔ながらの板戸なのです。これが懐かしくて、ここを通るとき閉まっていないかなと不謹慎な事を考えながら通り過ぎるのです。
 板戸には思い出がありまして、私の母方の祖父は松本の鍛冶町というところで洋品の店をしていました。洋品といってもキャラコやネルの布地、福助足袋、ワイシャツと何でもあつかっていました。奥が住まいになっていまして、夜になると店を閉めるのですが、これが板戸だったのです。下駄履きの祖父が戸袋から一枚一枚引き出して閉めていくのです。閉め終わりますと、もう板戸につけられたくぐり戸だけが出入り口になるのですが、そこから出入りして銭湯に行ったり夜店に行ったりという思い出があります。
 戦前長野の妻科に住んだ田中冬二が「美しき灯火の町」と長野の夜を表現していますが、それはもしかしたら、板戸から漏れる裸電球の明かりではなかったかと思ったものです。何気ない事なのですが、この板戸というのは私には忘れられない思い出の光景であるのです。
定休日の植木商店



Posted by 南宜堂 at 11:35│Comments(2)

この記事へのコメント

水曜日の植木商店!
コメントを頂いて、ああ!今日は水曜日!と思ったものの
立ち寄る時間がありませんでした!
早速記事にしてくださり、文中に名前まで登場させてくださって!感激です。

これが水曜日の植木商店でしたか!
こんなふうに板戸に囲まれるのですね!!!!囲まれるというより
大切に「包まれる」感じですね!昔のシャッターというわけなのですね!!!


あ!二宮金次郎はやっぱり「二ノ宮」ではありませんでしたか!
文中で迷ったのですが、さっそく訂正します。ありがとうございます!

長野に生まれ育ち、長野の町移り変わりなどにも興味があるものですから
南宜堂さまのブログ!たいへん楽しみに拝見しています。
今後ともよろしくお願い致します。
Posted by みうみうBETTY at 2008年05月28日 18:50
みうみうBETTYさま
こちらこそ、お若いのに街灯だとかマンホールの蓋とか、視点が渋いのに感心しております。最近鶴賀の街灯を見つけました。ご存じでしょうね。
Posted by 南宜堂 at 2008年05月29日 01:03

 
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