2008年08月31日

源頼朝と善光寺

 源頼朝が善光寺に詣ったとされる建久8年は、頼朝の晩年にあたります。しかし死の直前まで精力的に公務をこなしていた頼朝でしたから、はたして善光寺に詣るだけの時間がとれたのかどうか。この頃何回か上洛しているようですから、その途中に立ち寄ったということは考えられます。
 それにしても、頼朝はなぜ熱心に善光寺如来を信仰したのでしょうか。当時の関東には善光寺信仰が広まっており、鎌倉に幕府を開いたばかりの頼朝は、関東の御家人の心を掌握するために善光寺信仰を利用したのではないかいうことがいわれています。
 もちろんそういうこともあったのでしょうが、頼朝という人は非常に信心深い人であったようです。どうも、弟の義経や範頼をはじめ多くの家臣を粛正した頼朝と信心深いというのは矛盾するようですが、当時の感覚からすれば信心とは心の問題というより、仏像や寺をつくったり、寺に多くの土地を寄進したりということこそが信心の証とみられていたようです。
 頼朝は善光寺を再建することで、義経や範頼の魂も鎮められ、自らも極楽に往生できると考えたのかもしれません。



Posted by 南宜堂 at 22:18│Comments(0)

 
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