2008年09月11日

ほどほどに

 はじめて東京に行ったのは昭和36年頃ではなかったかと思います。記憶をたどると上野も浅草も新橋もなんとなく薄暗く屋台の焼き鳥屋や焼きそばなんかもあって、いまの東京とはえらい違いでした。
 その次は昭和39年、東京オリンピックの年に修学旅行で上京したのですが、高速道路ができて、やたら立派な東京国立競技場なんかもあって、長野とはちがうなと思ったものです。川が汚かったのが印象に残っています。
 思えば、あの頃の東京はちょうど成長期だったのですね。うらぶれた戦後の焼け跡から世界の大都市へ、急ピッチで建設が進んでいたときなのでしょう。公害問題というのもこの頃起こってくるのですが、成長のための負の部分として、それほど問題視されていなかったようです。
 これから後東京はまだまだ発展を続けていくわけですが、当時は、日本の経済成長は無限に続くものと多くの人は思っていました。それが、バブル期を頂点として、どうもがいても成長ということができなくなった。それどころか、減速しているという閉塞感が漂っているというのがいまの日本です。
 昨日、自民党の総裁選の告示があって、立候補者がそれぞれの持論を述べていましたが、いまだに日本の経済成長を信じている人がいるのには驚かされました。世界の歴史を見ても、新しい国が興ってきて大国はその力を弱めていくというのは、もうどうしようもないことのような気がします。わが国もまたしかり、明治維新以後成長を続け世界の先進国となったのですが、いまでは同じアジアの勢いのある国に市場を奪われ、長期凋落の道を歩んでいます。
 バブル崩壊後の日々を経験してきた私たちは、学習効果というのでしょうか、怒濤の成長など望まないし、望むべくもないことはよくわかってるようです。生活の不安は困るし格差の拡大もこまります。しかし「24時間働けますか」のかけ声で、いまの若い人はモーレツ社員に変身できるとも思えません。ほどほどにあるいはそこそこにというのが、私なんかの偽らざる思いなのですが、後ろ向きなのかな。



Posted by 南宜堂 at 11:17│Comments(0)

 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。