2007年07月05日

インターネット

 将来、といってもそれほど遠くはないのですが、車が使えなくなった時のことを考えると住む場所というのはたいせつです。できれば公共交通を使って町まで出たい、本を探したり、お茶を飲んだり、映画を見たりと、なかなか老人の悩みも深いものがあります。
 一方で、痛い足腰を伸ばして出かけるほどに町は魅力的なんだろうか、そんな風にも思うこともあります。
 私たちの若い頃には考えも及ばなかった「インターネット」というものが出来て、たいていの用事はパソコンとにらめっこするだけで済んでしまう今日このごろです。例えば本、古書であろうが新刊本であろうが、書名か著者名を入力してやるとたちまち目的の本にたどりつけ、カートに入れるを押すと買い物が済んでしまい、翌日には手元に届くという仕組みです。
 本というのは多品種少数商品の代表的なもので、町一番の大型書店に行ってみても、出版されているすべての本を取りそろえているわけではありません。わざわざ出かけて行ってみて、ありませんと言われた時はほんとうにがっかりしてしまいます。改めて取り寄せるとなるとまた幾日かかるかわからないというのが本の流通です。
 インターネットはありませんということは言いません。それどころか、新刊から古書まであらゆる価格の商品を教えてくれるのです。しかし、私たち利用者には便利になりましたが、ネットに出店している古書店はたいへんなようです。知り合いの古書店兼出版社光風舎さんも最近ネットの販売をはじめたそうですが、いままで店売だけでやっていたときはほとんど常連さんだけで、売れそうもない本をいっぱいかかえていたのが、ネットに出品するようになったらこんな本がと思われるものに注文が入ったり、さすが全国区ですねと言っていました。しかし、反対に同一の本が何軒もの古書店から出品されているので価格競争が大変なんだそうです。
 私は本屋さんに入ると、それが新刊書店でも古書店でも、まずその書店の雰囲気というものに浸るのが好きなのです。説明は難しいのですが、書棚に並んだ本の背を見ていると伝わってくる雰囲気というのがあります。それほど急いでいる身ではないので、ゆっくりと書棚の間を彷徨し、面白そうな本があれば財布と相談して買うわけです。どうしてもほしい本があればネットで探しますが、学者じゃありませんからそんな本はめったにありません。
 どうも今の人は結論を急ぎすぎるように思います。電話なんかでも、携帯の発達で相手が出ないことでイライラしたりしてしまいます。本にしても、面白そうな本を探す過程を楽しむというのはどうなんでしょう。そのためには「ずく」を出して出かけてみるのも大切です。



Posted by 南宜堂 at 20:35│Comments(0)

 
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