2010年07月12日

烏の森風雲録 3

 赤色カラスが言うには、最初から灰色カラスは烏の森を乗っ取るつもりでやってきたというのです。烏山を追い出された後、灰色カラスはなぜ正しいことを主張した自分が追い出されるはめになったんだろうかと、一生懸命に考えたのでしょう。その結論が権力にすり寄らなければだめだということでした。
 灰色カラスが目を付けたのは烏の森の総裁カラスでした。総裁カラスはカラスの国では有名人で、そのやり方は強引で批判するものも多いのですが、欲が深くて取り入りやすいと判断したのでしょう。
 また、烏の森に住むカラスは総裁とは正反対で人のいいカラスが多くて、あまりほかのカラスを疑うことがないという評判も聞いていたのでした。
 灰色カラスはまんまと烏の森に入り込み、総裁のお気に入りになることもできました。そしておあつらえ向きに組長カラスたちが嫌気がさしてやめてくれたので、その後がまにもおさまることができたのです。
 若い頃に正攻法で批判して、酋長カラスに簡単に跳ね返されたという学習が役に立ったのだと思いました。トップを籠絡しなければその組織を自分のものとすることができないということが身にしみてわかったのです。
 さらには、自分たちを批判するものの存在を許さないように、例の烏の森のモラルもつくったのです。これで完璧だと灰色カラスは思ったことでしょう。



Posted by 南宜堂 at 00:02│Comments(0)
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