2011年06月08日

どちらも変わるんだねえ

「何というか、いわゆる愛書家とはタイプが違うんだな。服も持物もパリッとしている。むろん、金持の愛書家やおしゃれの蔵書家というのはいるけれど、一般に本好きというのは本にお金を使うもんです。かりに服飾に気を配っても、どこか手を抜いている。たとえばいい服を着ていても、ライターは百円の使い捨てとかいう具合にね。」(「古本屋探偵の事件簿」紀田順一郎)

きのうのつづき、いはゆる古本屋のお客の話です。客層の上澄みの部分が研究資料として古書を求める大学の先生とか研究者の方々ですが、残念ながら当店の品揃えではそういった研究者の方々の求めには応じられないようで、もっぱら多く来店するのが一般の本の好きな人です。
その中でも本を集めるのが好きという愛書家の人たちはリピーターになってもらえますし、古本屋にはありがたいお客です。
こういった人たちは、紀田氏が描写しているように、本以外のことには無頓着な人が多いようです。少しでも時間があれば本の背表紙を眺めていたいわけですし、食べるものにも贅沢はしません。
似たもの同士ということをいいますが、古本屋もまた本のこと以外には無頓着なものが多いようです。時々読ませていただいている、古本屋ツアー・イン・ジャパンさんのブログにはそんな本屋さんが多く登場します。
私どもの店もまた本が雑然と並んでいるといった以外はこれといって目立つ古本屋ではありません。内装やら看板やらに使う金を惜しんで本を集めてきた結果です。
今、この界隈に新しい同業者が増えるという事態を前にして、私どもの店も変わっていかないといけないのかいう思いを抱いています。
というのも、これからは開店しようという店はいずれも確固たるコンセプトをもち、それを強く顧客にアッピールしようとしているように見えるからです。
この辺の話はまだまだ思案中のところもあって、なかなか結論を出せるものではありませんので、また書くこともあろうかと思います。



Posted by 南宜堂 at 00:35│Comments(0)

 
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