あれこれ南宜堂

　エムウェーブにある「長野オリンピック記念館」が閉館するのだそうです。長野オリンピックの感動を次世代に伝えようとして開館した施設が、開催10周年という節目の年に閉館というのも因縁めいた話です。
　先日の信濃毎日新聞には、オリンピックをやってよかったのかというアンケートが載っておりました。よかったという人が過半数を超えたようで、関係者の皆様はほんとうによかったとほっと胸をなで下ろしていることでしょう。私もああいうアンケートの出され方で答えれば、よかったと思います。新幹線も高速道路もやってきたし、2週間の感動を味あわせていただいたのですから、やらなければよかったなどと言ったのでは罰が当たります。
　オリンピックから10年が過ぎて、国際親善だとか環境の保護だとかバリアフリー社会の実現だとか、そんなことがナガノで定着したのかどうかなどと議論をしておりますが、それはオリンピックの開催とは直接には関係ないことで、オリンピックが開かれようが開かれまいが、進めるべきことではないかと思うのです。それに、どう思うかなどというアンケート、主観的な感想を寄せ集めて、それを計量的に処理するとは、あまり感心したものではありません。国際化が進んだかとか環境がよくなったかなどということは、個人の感想を求めるまでもなく、何らかの数字で客観的に表すことだってできるのではないでしょうか。単に県民の一部の感想を問うたところで「おれはこう思うよ、だけど他の人はどうなんだろうね」程度の結果しか得られないのではないでしょうか。
　そんなことよりも、長野オリンピックの陰日向で活躍したフィクサーの皆様方のそろばん勘定でもやっていただいた方が興味深いところです。
　オリンピックを祭りにたとえては失礼ですが、祭りなんてものは常に一過性のもので遺産がどうの、県民の意識がどう変わったのと議論すること自体おかしなことではないかと思います。よく祭りの後の虚しさなんていうではないですか。祭りはそれでいいのですよ。毎日が祭りになったり、祭りに何か付加価値を求めたりするのは神への冒涜です。オリンピックの場合は、ヤオヨロズの神ではなく、オリンポスの神々ですね。
　ただ、多くの税金使ってやった祭りですから、その会計報告だけはきちんとやっていただかないといけません。