映画「ザ・コーヴ」のこと
開国を求めて日本にやってきたペリー艦隊の大きな目的は、太平洋上で操業する米国の捕鯨船への薪水の供与を求めるものであった。当時米国は世界有数の捕鯨国であった。その目的は鯨油をとることで、肉のほとんどは捨てられたという。
私が子供の頃は、南太平洋上で日本の捕鯨船団が盛んに活躍していた。鯨の肉もしょっちゅう食卓に上がった。鯨はすべての部分が有用で捨てるところがないと学校で教わったおぼえがある。現在は捕鯨が禁止されていて、わずかに調査捕鯨の名目で鯨が獲られ、鯨肉は高級食品になっている。
捕鯨の町として昔から有名なのが和歌山県の太地町である。ずいぶん前のことだが、子供にせがまれて太地町まで鯨を見に行ったことがあった。鯨の博物館というのがあって、そこには鯨やシャチが飼育されていた。
日本の捕鯨に対しては、国際的な自然保護団体グリーンピースなどによって批判されているが、この捕鯨と並んで太地町ではイルカ漁が古くから行われていることが、最近の映画「ザ・コーブ」の上映反対騒動をきっかけに初めて知った。
映画は、太地町のイルカ漁を残酷な動物虐待であるという視点から描いた記録映画で、アカデミー長編ドキュメンタリー賞を獲得している。
この映画「ザ・コーヴ」の日本での上映をめぐって激しい反対活動が起こっているということを先日テレビ番組が伝えていた(『クローズアップ現代 問われる表現 イルカ漁映画』NHK2010年7月6日)。
私は実際にこの映画を見たわけではない。テレビやネットの動画サイトで流される断片的な映像でその一部を知るだけである。内容をよく知らないわけだから、映画そのものに対する評価はできないが、その上映をめぐって行われている反対活動に対しては、おかしいのではないかと思われてならない。
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