2010年04月14日

ネット社会の非常識

 ある趣味の団体の話である。
 ある日突然ホームページが閉鎖されてしまった。「諸般の事情により」としか説明されていなかった。
 ホームページには掲示板が付設されていて、ここを通して会員が交流していたため、その団体の活動はそこでストップしてしまった。
 発端は、会の主宰者と役員との運営についての考え方の違いからだった。主宰者は自分の思い通りに会を運営していたかった。対する役員は、皆の意見を集約して民主的な運営を望んでいた。
 その対立が嵩じて、役員が辞表を出すという事態になった。主宰者はそれを待っていたかのように自分の側近を役員に据えた。それについて、掲示板にさまざまな意見が寄せられた。
 そして主宰者側はここでとんでもない手段に出た。自分たちの都合の悪い投稿を削除してしまったのである。都合の悪くない投稿まで間違えて削除するというおまけまでつけて。
 これには会員から猛反対の投稿が寄せられた。そして突然のホームベージの閉鎖というわけである。
 もちろんこれは平成の日本での話であり、戦前の日本やどこかの軍事政権下の国の話ではない。こんなお粗末なことが起こるはずはないと思っている人が多いと思うのだが、実際に起こった話なのである。
 ちょっと前、鹿児島県阿久根市の市長がネットで市議の悪口を書いたり職員の給与明細を発表したりして話題になったが、この時も多くの人は、市長ともあろう人がこんな非常識なことをするのかと思ったのではないだろうか。
 どうもネットの社会は、そんなことはしないだろうという人の善意だけを信じて運営されているような気がする。だからこんな突然の奇手に対しても、何もできないのではないか。
 これからの社会はネットというものを抜きには考えられない。しかし、削除とか閉鎖とか、簡単にコミュニケーションを切ってしまえるような社会というのは、何とも恐ろしい社会なのではないだろうか。


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Posted by 南宜堂 at 02:21│Comments(0)ネット社会
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