2011年10月12日

長野裏本道(ながのうらほんどう)

 裏権堂通りの角にある団地堂さんから私どもの店光風舎に至る道筋は、今は暗渠となってしまった鐘鋳川の川筋に沿っている。ここには夕方から開く?大人のオモチャ屋さんがあったり、権堂の遊女たちの信仰を集めた田面稲荷の社があったりとなかなかに趣きのある道である。
 この道が東町東という名の交差点にぶつかり、左に折れると光風舎であるが、そのまま直進すると武井神社の脇を通る曲がりくねった細い道が岩石町の方に続いている。この鐘鋳川に沿ったあたりにはかつて私娼街があって、ずいぶんと賑やかであったと土地の人が話してくれた。
 鐘鋳川に沿った道、人は長野裏本道 と呼ぶ。かつて古本屋ツアージャパン氏が開いた道である。我ながら言い得て妙だと思っているのだが、誰も感心してはくれない。この長野裏本道沿いに、旧長藤文庫のOさんが古本屋の店をはじめてくれたら面白いだろうと、秘かに思っているのだ。 とは言うものの、長野の古本屋もけっこう増えたし、共倒れになる恐れもないわけではない。
 昨日も長野では老舗の山崎書店さんが来て、最近来店するお客さんが 少なくなったような気がすると言っていた。たしかにウチの場合も来るお客さんは多くはない。しかし、古本屋の客が少なくなったのは、古本屋が増えたからというよりは、古本屋に来る人の絶対量が少なくなったからだと考えた方がいいだろう。
 これから電子書籍の時代になると、古本という概念がなくなってしまうだろうから、ますます古本屋には厳しい時代になるだろう。はたしてほんとうに紙の本が無くなって電子書籍の時代になるのか。今盛んに議論されているが、先のことだから誰にもわからない。私個人としては、今のところは紙の本の方が読みやすいと思っている。
 レコードがCDに代わり、今となってはマニアのための貴重な存在となったように、そのうち本もマニアだけが欲しがるものになるのかもしれない。その時は貴重なものとなるだろうから、今からせっせと貯めておこうかとも考えるのだが、その頃には私はもうこの世にはいないだろうな。


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Posted by 南宜堂 at 09:41│Comments(0)古本屋の日々

 
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