2011年12月03日

アマチュア宣言

商売として古本屋をやるということについて、なかなか明快な結論が得られなくて、このブログでも堂々巡りのような文章を書き連ねている。
先ほどUstreamで「わめぞTV」を見たのだが、そこで早稲田の古書店現世の向井さんが新刊書店に較べると古本屋というのは店主と客との間が実にフラットなのだということを言っていた。こういう業界というのも珍しいのではないかとも。
言われてみるとなるほどと思う。私の店に「つん堂」さんの棚があるということは前にも書いたが、彼は古本とは関係ない業界の人であるが、古本についての知識は私たちより該博であるし、つん堂棚に並ぶ本も光風舎の棚より充実している。いつ私たちと代わって帳場に座ってもおかしくない。また、一箱古本市に出る人の中には私たちよりずいぶんとたくさん売る人がいる。
そういう風にプロとアマが一緒になって楽しめるのが古本業界であるということを向井さんは言いたかったのだと思う。実際には向井さんはプロ中のプロ、業界のことをそうとうに厳しく見ている人だとは思う。しかし最近のように誰もがいとも簡単に古本屋をはじめてしまうような現象を見ていると、ずいぶんと敷居の低い業界なのかとも思うのである。人のことは言えない。私たちもその敷居の低さに乗じて参入してきたようなものである。
どうも古本屋の中にメジャーとマイナーがあるようだ。メジャーというのは神保町の老舗や向井さんのような人、マイナーは私たち駆け出しやアマゾンで売っているセドリの人たちも入るのかもしれない。マイナーの位置にいる人たちは努力してメジャーを目指しているのだが、その壁は厚い。私たちはといえば、最初からメジャー挑戦をあきらめている。
かといって私たちはアマゾンで売っている人たちのように手っ取り早く稼ぎたいからということで古本屋をやっているわけではない。それは昨日も書いたように古本とともにある時間を楽しみたいという欲望によるようである。そうでなければアルバイトをしてまで古本屋を続けない。
メジャーにはなれないまでも、せめて古本屋で食えるようにはなりたいとは思うのだが、なかなかそうはいかない。怠け者なのだ。今はもう覚悟を決めて、愛される町のアマチュア古本屋を目指そうと思っている。


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Posted by 南宜堂 at 13:14│Comments(0)古本屋の日々

 
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