2012年01月14日

最近の店事情

古本屋光風舎は二人の共同経営であるが、年が明けてから二人で店に居ることが多くなった。元々がそれほど忙しい店ではない。大の大人が雁首揃えて居るような店ではない。本格的な冬となって、来店客が少なくなってしまった。減収分をネットでの販売で補おうと、二人でパソコンに向かって登録作業をしているのだ。私は古本の担当、共同経営者はレコード、CD、ビデオを担当している。

ネットの反応は早い。特にオークションの場合は、登録してから1週間ほどで落札されることが多い。いつ売れるのかわからない店売りとはだいぶ違う。そんなことで、最近店のことが疎かになっているような気がするのだ。

そんな折、某新聞の記者さんが店に来た。いちおうこの辺りの古本屋のことを取材しているのだということだが、いつ記事になるのか、うまくまとまるのかわからないという話をしていた。取材をすればするほどうまくまとまらなくなるようで、正直な記者さんである。若い女性だからということではなく、彼女の取材態度に好感を覚えた。

その記者さんから、店売りを中心にするようになって変わったことという質問を受けた。一昨年の暮れ、現在地に店を移し、ネット中心の販売から店売りに切り替えたという話をしたからだ。何が変わったのだろう。ありきたりの話だが、お客さんと直接顔を合わせるから、それまで得られなかった様々な情報が入ってくるということだろうか。

たまたまその時は二人のお客さんがいた。いずれも顔見知りで、一人はアマゾンで古本の販売をしているOさん、もう一人は松本で映画館に勤めているYさんだ。Oさんは店を持たずにネットだけで販売しているが、ウチの店より売り上げが多い。今の売れ筋とか、どこの運送会社が運賃が安いかとかそんな話をしてくれた。Yさんは映画好きが高じて今の仕事に就いた人で、もう何十年来のウチのお客さんだ。近々昭和39年頃を舞台にした映画(と言えば何という映画からわかってしまうのだが)が封切りになるので、当時のレコードを売店に並べたいという相談に来たのだ。

ということで、いろいろなお客さんがこの小さな古本屋にやって来て、さまざまな話をしてくれる。ぜんぜん別のお客さんが来て、そんな話に加わることもある。商売とは別に、人の十字路のような場所でもあるようだ。

だからそれがどうかということになるとどうでもないが、まあ古本屋をやっている面白味のようなものである。そういえば、誰かの推理小説に古本喫茶のような店に集まる客同士が親しくなって、というようなのがあった。

そんなことを考えながら気楽に商売をやっていられればそれでいいのだが、地方で古本屋を続ける環境は決して良くはない。記者さんにはその辺りも取材して、読ませて考えさせる記事を書いて欲しいと思っている。


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Posted by 南宜堂 at 04:00│Comments(0)古本屋の日々

 
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