2007年07月30日

勝ち馬に乗る


 という言葉はないようです。「勝ち馬」とは競馬で一着になった馬のことなんですが、なんとなく勝ちそうな方に身をすりよせることを「勝ち馬に乗る」というのではないかと思ってしまいます。そういう言葉があるとしたら「勝ち馬につく」という方が正しいのかもしれません。
 似た言葉に「尻馬に乗る」というのがありますから、これと混同してしまったのかもしれません。「無批判に人の後について、便乗的に事をすること。他人の言説に付和雷同すること。」と「広辞苑」にはあります。なかなか人間は孤独とか孤立には耐えられないようにできているようです。多くの人がAと言っているのに、いや私はBだというのは勇気がいります。多数意見に屈しながらも「それでも地球は回っている」と言ったのはガリレオですが、太平洋戦争中自分の信念を通して命を落とした人もいました。以前に紹介したテレビドラマ「パンとあこがれ」の相馬夫妻の息子は、みんな戦争に反対しなかったのだから仕方がない、と言って出征していきました。
 今は民主主義の時代ですから、どんな少数意見も迫害されることはありません。しかし、そうは言っても日本人は「尻馬に乗る」ことが得意というか、孤立することを恐れているようです。人と変わったことをすることを極度に嫌う人が多いような気がします。それは自分の思考を論理的に組み立てていくことが苦手になったことが原因ではないかと思うのです。自分の意志というものが論理的に構築されていれば、少数意見でも自信をもって貫徹できるのではないでしょうか。



Posted by 南宜堂 at 23:40│Comments(0)

 
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