2010年04月11日
象山紀行 3
長野電鉄屋代線(旧河東線)は、須坂市と千曲市屋代を結ぶ私鉄のローカル線である。その名の通り、千曲川の東岸を、1両編成の電車がのんびりと走っている。
この路線の中間にあるのが、真田十万石の城下町松代である。松代駅から屋代に向かって一駅目の小さな無人駅が「象山口」だ。当然のことながら「ぞうざんぐち」と読ませる。この駅名は、佐久間象山にちなんだものではない。駅の東側にある、こんもりとした小山象山にちなんだものである。
その象山のふもとが佐久間象山の生まれ育った場所で、現在はそこに象山神社がある。
象山の雅号は、この小山からとられたものである。象山自らが次のように書いている。
「昔者(むかし)、陸子静(りくしせい)は学を貴渓(きけい)の象山(しょうざん)に講ず。人は因りてこれを号して象山(しょうざん)先生といふ。予の廬の西南に巨陵奮起す。その状は厳然として象に類す。土人は目して象山(ぞうざん)といへば、すなはち余もまた遂に象山をもつてして自ら号す。」(「象山の説」)
陸子静は宋代の儒者で、陸象山(りくしょうざん)と号した。象山は「象山の説」の中で、陸象山は近くの山象山からとって自らの雅号としたことを述べ、自分もその故事にならって近くの山象山にちなんで雅号としたのだとしている。決して陸象山を慕ってつけたわけではないのだと述べている。
この象山雅号のいわれは、先に述べた象山の読みを「ぞうざん」とするのか「しょうざん」とするのかに大いに関係した問題なのである。陸象山を慕って象山としたとするならば、これはもう「しょうざん」で決まりなのであるが、近くの山象山(ぞうざん)からとったのだとすると「ぞうざん」とすべきではないか。
これについてはまたこんな説もある。この象山という山の麓に象山恵明寺という黄檗宗の寺があって、象山という山名はそれに由来するというのである。地元の人々はむしろ竹林の多い山であったので「竹山(たけやま)」と呼んでいたという。「小説佐久間象山」の著者井出孫六氏は、竹山の麓に住んだ人がこれに因んだ雅号を「ちくざん」とするように、象山もこれを「しょうざん」としたのではないかという説を提示している。
象山の読みについては、以前にも書いたように、象山が揮毫した幟の解説というものが残っていて、そこには象山が自筆で「シヤウザン」とカタカナのルビがふってあったことから、ほぼ決着ということになっている。しかしそれでも信州の人間はどうしても「ぞうざん」にこだわってしまうのである。
この路線の中間にあるのが、真田十万石の城下町松代である。松代駅から屋代に向かって一駅目の小さな無人駅が「象山口」だ。当然のことながら「ぞうざんぐち」と読ませる。この駅名は、佐久間象山にちなんだものではない。駅の東側にある、こんもりとした小山象山にちなんだものである。
その象山のふもとが佐久間象山の生まれ育った場所で、現在はそこに象山神社がある。
象山の雅号は、この小山からとられたものである。象山自らが次のように書いている。
「昔者(むかし)、陸子静(りくしせい)は学を貴渓(きけい)の象山(しょうざん)に講ず。人は因りてこれを号して象山(しょうざん)先生といふ。予の廬の西南に巨陵奮起す。その状は厳然として象に類す。土人は目して象山(ぞうざん)といへば、すなはち余もまた遂に象山をもつてして自ら号す。」(「象山の説」)
陸子静は宋代の儒者で、陸象山(りくしょうざん)と号した。象山は「象山の説」の中で、陸象山は近くの山象山からとって自らの雅号としたことを述べ、自分もその故事にならって近くの山象山にちなんで雅号としたのだとしている。決して陸象山を慕ってつけたわけではないのだと述べている。
この象山雅号のいわれは、先に述べた象山の読みを「ぞうざん」とするのか「しょうざん」とするのかに大いに関係した問題なのである。陸象山を慕って象山としたとするならば、これはもう「しょうざん」で決まりなのであるが、近くの山象山(ぞうざん)からとったのだとすると「ぞうざん」とすべきではないか。
これについてはまたこんな説もある。この象山という山の麓に象山恵明寺という黄檗宗の寺があって、象山という山名はそれに由来するというのである。地元の人々はむしろ竹林の多い山であったので「竹山(たけやま)」と呼んでいたという。「小説佐久間象山」の著者井出孫六氏は、竹山の麓に住んだ人がこれに因んだ雅号を「ちくざん」とするように、象山もこれを「しょうざん」としたのではないかという説を提示している。
象山の読みについては、以前にも書いたように、象山が揮毫した幟の解説というものが残っていて、そこには象山が自筆で「シヤウザン」とカタカナのルビがふってあったことから、ほぼ決着ということになっている。しかしそれでも信州の人間はどうしても「ぞうざん」にこだわってしまうのである。
Posted by 南宜堂 at 15:14│Comments(0)
│松代
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