2008年03月27日

カール・マルクス

といえば、19世紀ドイツの経済学者であり思想家ですが、ソ連邦の崩壊以来話題に上ることの少なくなった人ではあります。彼の唱えた経済理論は今ではもう古くさくなっていますので、経済学者としてのマルクスから学ぶことはないように思います。しかし思想家としてのマルクスは再び読まれてもいいのではないかと、ばくぜんと思っております。
 そのマルクスの「資本論」ですが、何十年か前に読もうとしたことはあります。結局は一巻も読めないうちに挫折してしまったわけなのですが。
 記憶をたどれば、マルクスによる労働の概念は、対象に働きかけて何かを生み出す行為ということだったと思います。マルクスの時代のヨーロッパといえば、産業革命後の資本主義の勃興期であり、資本家による労働者の搾取が顕著になった時代でした。
 労働者は、労働手段も労働によって作り出される富も資本家に奪われており、労働は苦痛でしかないとマルクスは結論づけていました。
 しかし、現代では「労働は苦痛である」とは一概にいえなくなっているばかりか、「働くことが生き甲斐だ」という人も多く見られるようになりました。労働者の生活が向上することで、搾取されているという意識も薄れているのでしょう。それはよかった、めでたしめでたしということでお話は終わればいいのですが、私の意識の中では何かひっかかるものがあるのです。  

Posted by 南宜堂 at 16:35Comments(0)